寺子屋北斎

持続可能な究極の理想的な循環型社会であった江戸時代が北斎とともに受け継がれてきていたら、今の私たちの生活はどんな姿になっていたでしょうか。

江戸時代がそうであったように、賑やかな村に商人が集まり、商いが行われ、贅沢ではないが、心が豊かになる活気ある生活が営まれていく。老若男女が自然と茶屋で交流し人間性を磨いたり、寺子屋でさまざまな見識を深めたり・・・そんな細やかなことが、現代人に人としての心のありようを氣づかさせてくれるのかもしれません。

北斎が私たちに残してくれた価値は、単に美術館にある北斎の描いた絵画にあるわけではありません。北斎は北信妙見を信仰し、目に見えない森羅万象の世界を描き続けました。まさしくそれが風であり、刻々と形を変える水であり、この世に生きとし生けるもの全ての姿です。その北斎が残してくれた、共に宇宙に存在する生命の力を感じ、私たちはここ北斎村に集うこととなりました。

追いかけることに全てを捧げ、ものに溺れてしまった現代。ふと振り返り、我を知り、そして前を見たときに、そこに幸せを感じる夢があるべきかと。北斎村がそうした夢を私たちに再び抱かせてくれる場所になること、それは北斎が残してくれた夢かもしれません。